ロシア選挙干渉「疑惑」、ネオ・ユーラシア主義、そして自由主義の未来

参議院選挙中の「スプートニク騒動」では、ロシアの思想への共鳴を選挙干渉と結びつける傾向が見られた。ただ思想への共感自体は、外国勢力の干渉ではなく、違法ではない。ある思想に反対する活動と、違法行為を根拠にした取り締まりとは、区別しなければならない。安易な思想統制は、自由主義社会の自殺を招く。注意が必要である。
篠田英朗 2025.07.26
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ロシア選挙干渉「疑惑」の疑惑

 参議院選挙中に起こった不思議な出来事の一つは、スプートニク騒動だろう。私もこの「The Letter」で、「スプートニク騒動と「戦う民主主義」の暴走への警戒」という題名の記事を書いた。

 今のところ、ロシアの選挙干渉を示す証拠のようなものは見つかっていない。一斉凍結されたアカウントの持ち主が、スプートニクと参政党をともに好意的に扱っていた形跡があるとは言われる。だが、もともと両者は「反グローバル主義」と形容できる思想を共有している(共有していない思想部分も多々あるが)。したがって「反グローバル」な思想に関心を持ち、その関心からスプートニクと参政党の双方に関心を持っていた人物がいたとしても、そのこと自体は取り立てて不思議なことではない。もし「反グローバルな思想への関心からスプートニクと参政党に関心を持つのはダメだ」ということであったとすると、これは外国勢力の選挙干渉などとは異なる次元での思想統制になる。

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