トランプ大統領のイラン攻撃の違法性の特徴について

トランプ大統領によるイラン核施設攻撃は、国際法・国内法の両面で明白に違法である。自衛権も安保理決議も根拠にならず、議会の承認も得ていない。過去の武力行使と異なり、正当化の建前すら欠如しており、国際秩序を揺るがす深刻な行為である。
篠田英朗 2025.06.23
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迷走するトランプ大統領の中東政策

 トランプ大統領による米軍のイラン核施設爆撃が行われた。イランとイスラエルの交戦は、その後も続いており、米軍の介入もこれで終わりにすることができるかどうかは、わからない。トランプ政権内でも、トランプ大統領の心にも、相当な迷いがあるように思われる。

 根本的には、イランの核開発能力の破壊が目的で、それを完遂したが、まだ軍事行動を続けるかもしれないと、矛盾したことをトランプ大統領が述べていることが、大きな問題である。これまで意表を突いた政策を次々ととってきたと思われているトランプ大統領だが、高関税政策やロシア・ウクライナ戦争の停戦調停などは、選挙戦中から予告していた政策だ。その意味では、トランプ大統領の頭の中では、準備があった。準備があったということは、成功する、という意味ではないが、少なくともトランプ大統領なりの考えに従った体系があった。

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  • トランプ大統領のイラン攻撃の国際法上の違法性の性格
  • 合衆国憲法から見たときの違法性について
  • ロシアとの比較

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