スーダンの危機的情勢と複雑さ、そして日本の立ち位置
今回の東アフリカ出張では、スーダン情勢の調査も行った。2023年以降、スーダンでは内戦により、国内避難民800万人超、2,500万人が人道支援を要する世界最悪級の危機が続く。飢餓や感染症も深刻で、支援活動の安全や資金も不足している。国軍は東部を掌握するが西部では激戦が続く。紅海の要衝ポート・スーダンをめぐるロシア、トルコ、中国、UAEなどの関与を注視しつつ、日本は中立的立場で人道援助を行う。
篠田英朗
2025.10.12
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スーダンの危機的状況
スーダンは、世界最悪の人道危機に見舞われている国の一つである。2023年4月に勃発したスーダン軍(SAF:Sudanese Armed Forces)と即応支援部隊(RSF:Rapid Support Forces)との間の武力衝突で、人道危機が、国内各地に拡大した。
現在、国内避難民(IDP)は800万人台以上、国外難民も数百万人に上ると見られている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、国内外で2,500万人を超える人々が人道支援を必要としているとしている。深刻な食料不安も広がっており、WFP(国連世界食糧計画)によると、約2,460万人が「急性飢餓(acute hunger)」の状態にあり、そのうち200万人以上が飢餓リスクに直面している。