パレスチナ国家承認をめぐる国際法と国際政治のダイナミズム
パレスチナ国家承認国が160に迫り、日本は承認を見送った。国際法上の国家承認は政治判断であり、諸国は利益調整の中で決めている。日本は少数派に属し、外交上の足かせとなる可能性があるが、最終的には自国の判断と責任である。
篠田英朗
2025.09.24
読者限定
イスラエル国家承認数に迫るパレスチナ国家承認数
ガザ危機の高まりから約2年、国連創設80周年の国連総会にあわせて、欧州の複数国、カナダ、オーストラリアなどが、パレスチナの国家承認を行ってきた。これによってパレスチナを国家承認した諸国の数が、160に迫ろうとしているようだ。イスラエルを国家承認している国連加盟国数が、164なので、ほぼ同数に匹敵してきているわけである。
率直に言って、パレスチナを国家承認する国の数が増えたからといって、現実がすぐに変わるわけではない。しかし何か行動を示さなければ、このままズルズルとイスラエルの蛮行が続いてしまうという諸国の焦りが、この承認ラッシュを生んでいる。
この記事は無料で続きを読めます
続きは、3442文字あります。
- 日本の立場のわかりにくさ
- 国際社会における国家承認の実行
- 創設的効果説と宣言的効果説
- 脱植民地化を通じた国際社会の構造転換
- 国家承認は、承認する国家の責任判断
すでに登録された方はこちら