南アジアで進む政治変動

 南アジアでは若者主導の大衆運動により政変が相次ぎ、パキスタンやスリランカは実務的安定化を模索する一方、バングラデシュでは急進的変動が起き、学生層とイスラム主義勢力が台頭。米中の思惑も交錯し地域の不安定化が進んでいる。
篠田英朗 2025.09.19
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日本が第二の東南アジアとなることを期待する南アジア 

 スリランカで論文集公刊に向けた最終検討会の研究会を開催した。スリランカ、バングラデシュ、アフガニスタンの研究者に集まってもらった。帰路では、インドのニューデリーに立ち寄り、シンクタンクの研究者と意見交換を行った。

 FOIP(自由で開かれたインド太平洋)の見取り図にしたがって、南アジアと東アフリカの研究者たちと二つの共同研究論文集を、今年中に公刊する予定だ。FOIPの見取り図には、当然インド洋沿岸地域が含まれるのだが、アフリカはもちろん、南アジアですら、日本で、正面から論じられることが少ない。そこで東京大学ROLESさんの研究プロジェクトの一環として二年ほど前に共同研究を開始した。

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  • 政治変動が相次ぐ南アジア諸国
  • 一番不安なバングラデシュ

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