「ドンロー主義」について(5):ウィルソン主義のモンロー・ドクトリン
ウィルソンはモンロー・ドクトリンを否定したのか
モンロー・ドクトリンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけての共和党全盛の時代の大統領のイメージが強い。「ローズベルト・コロラリー」は、その代表イメージだ。現代のトランプ大統領も、それを意識しているだろう。
他方、言うまでもなく、民主党の大統領や議員たちも、モンロー・ドクトリンを強く信奉していた。ただ、確かに、信奉の仕方は、共和党系と民主党系とでは、ちょっと違っていたかもしれない。
2013年から第28代大統領を務めたウッドロー・ウィルソンは、国際政治史にその名を刻む大物大統領だ。今日でも「ウィルソン主義」という言葉が、国際制度主義の意味で、用いられる。
第一次世界大戦の勃発に直面し、第一期目を通じて中立の立場を維持した。そのまま中立を唱えて、2016年に再選を果たした。しかし2017年に協商国側についてアメリカを参戦させると、戦争の帰趨に大きな影響を与える本格的な軍事関与を行った。戦後は、自らパリに赴いて講和会議を主導し、国際連盟の設立に尽力した。
ウィルソンの足跡は、モンロー・ドクトリンの伝統を打ち破ったものであるかのように見える。実際のところ、同時代の議員たちは、そのように考えてウィルソンへの反感を強め、アメリカの国際連盟加入に反対した。
しかしウィルソン自身は、そう考えていなかった。ウィルソンは、自らをモンロー・ドクトリンの信奉者だとみなしていた。そのうえで、モンロー・ドクトリンをヨーロッパに適用するのが国際連盟なのだ、と説明していた。
これはいったいどういうことなのだろうか。
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