戦略なきアメリカ、長期戦目指すイラン

米国とイスラエルの対イラン攻撃は短期決着の見込みを外し、戦局は消耗戦へ移行している。ミサイルや安価なドローンの数量で優位なイランは長期戦を志向し、地下施設などを利用して戦力を温存している。米国は戦略の不明確さを露呈しつつあり、フーシー派の動向も不安要因となる。長期消耗戦の可能性が高まる中、日本では過度な楽観論が広がり、戦争長期化が日本の国力を消耗させる危険が十分に認識されていない。
篠田英朗 2026.03.07
読者限定

アメリカ・イスラエル対イラン戦争の現況

 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃については、開戦直後の3月1日の『The Letter』記事で、私はそれを「技術に溺れた賭け」と描写した。アメリカ・イスラエル側の現実的な見込みに乏しい空想的な思惑は外れ、イランが徹底抗戦の構えを見せ続けている。そのため、焦点は消耗戦を前提にした双方の耐久力に移ってきている。https://shinodahideaki.theletter.jp/posts/074b8ecd-0ac2-4387-a15c-ce427e6f15ff 

 弾薬量(ミサイルと安価な攻撃ドローンの数量)で優位に立つのはイランだ。しかも安価なドローンを大量に保有しており、高額の防空兵器でアメリカとイスラエルが立ち向かうと、消耗戦には不利になる。必要ではなかった戦争を強引に始めたアメリカとイスラエルは、国内世論の動向にも非常に気を遣っている様子が見て取れる。トランプ大統領は、アメリカが圧倒的に優位にあることを誇張する発言を繰り返しつつ、地上兵力の不足を補うために慌ててイラクのクルド人勢力にイランに攻め込むことを要請するなど、かえって長期的な戦略を欠いていることを露呈する行動に出ている。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3567文字あります。
  • 簡単ではない残存戦力の評価
  • 不気味なフーシー派の動向
  • 今後の見通しと日本の苦境

すでに登録された方はこちら

読者限定
サウジアラビア・パキスタン・トルコのメッカ共同防衛協定への諸国の反応と...
読者限定
サウジアラビア・パキスタン・トルコ防衛協定(メッカ協定)と中間派イスラ...
読者限定
ウクライナはドローン産業で生き残れるのか
読者限定
国際戦争化する内戦:複合的武力紛争の時代
読者限定
地政学的概念の誤解を招く用法
サポートメンバー限定
ノルドストリーム爆破事件が映し出す日本の言論空間の閉塞
読者限定
アメリカ「独立250年」が持つ世界史的な意味
読者限定
アメリカ「建国250年」の誤謬と、「皇室典範」改正問題