イスラエルと米国のイラン攻撃は技術に溺れた賭け

米国とイスラエルのイラン攻撃は、技術的優位による標的殺害の成功に依拠したが、体制転換の戦略的な見通しの裏付けを欠く「賭け」である。イラン側は、即時に報復や最高指導者の死亡の発表などを行っており、むしろ政府内の指揮系統が機能している様子が見られる。地上軍投入が政治的に困難であることが明白である一方、追加攻撃は消耗戦を招き、ホルムズ海峡や国際経済への混乱と国際世論の反発を強める。
篠田英朗 2026.03.01
読者限定

イスラエルとアメリカの標的殺害遂行の背景

 イラン近海への米軍艦船の集結度の高さから、ここ数週間にわたり不可避的とされてきたイラン攻撃が遂行された。アメリカの行動だけを見れば、航空攻撃の準備はすでにしばらく前に整っていたとみられるため、遂行時期について事前に綿密な計画が存在したのかどうかは判然としない。

 公式には、イランとの交渉の行方を見極めたうえで軍事行動を決定したとされている。しかし報道を見る限り、イランが譲歩を提示したとされるタイミングでの攻撃であった。そのため、イラン攻撃を強く求めてきたイスラエルが交渉成立を阻止する意図で米国に働きかけた可能性が指摘されている。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1566文字あります。
  • 「賭け」としての標的殺害
  • イランの反応の速さと広さと消耗戦の可能性

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
学者のSNSとの付き合い方に関する雑感
読者限定
ギニア:西アフリカから見るグローバル化の後の世界(3)
読者限定
セネガル:西アフリカから見るグローバル化の後の世界(2)
読者限定
西アフリカから見るグローバル化の後の世界(1):ベナン
読者限定
トッドが語る「慎重さ」という「日本の選択」の勧め(トッド『西洋の敗北』...
読者限定
「西洋の敗北」を不可避化したロシア・ウクライナ戦争(トッド『西洋の敗北...
読者限定
基軸通貨ドルと西洋の敗北(トッド『西洋の敗北』を読む2)
読者限定
深化する日本のニヒリズム(トッド『西洋の敗北』を読む1)