不足感の残る「手段」=「優先政策」:トランプ政権「国家安全保障戦略(NSS)」(5)
NSSの「優先的政策」は、移民制限、権利擁護、同盟負担移転、和平重視、経済安全保障の5本柱と、貿易均衡・供給網確保・再工業化・防衛産業・エネルギー・金融覇権の6小項目から成る。国内産業基盤の再生を国家安全保障の中核に据える一方、手段の具体性や相互整合性、とくに貿易均衡や再工業化の実現方法には不十分さが残る
篠田英朗
2025.12.19
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大項目5つ・小項目6つの「優先的政策」
NSSは、10原則を披露した後、「優先的政策」を示していく。大項目5つ、さらに小項目6つからなる「優先的政策」は、「原則」と比べると、すでに実施されている政策の後追い的な説明としての色が濃い。そのためか、既存の政策が、原則的な目的に合致していることを主張するような表現に終始している。NSSでは番号が付されていないが、ここでは便宜的に番号をふっていくことにする。
1.「大量移民の時代は終わった」
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- 「優先的政策」5つの大項目
- 「経済安全保障」の6つの小項目
- 国内産業の再生としての国家安全保障
- 「手段」と「目的」は整合しているのか
- 「手段」の精緻化は図られるか
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