広島原爆慰霊碑の碑文について

戦後80年の節目となる2024年の広島原爆忌には国際的関心が集まり、訪問者数も過去最多を記録した。慰霊碑の碑文「過ちは繰返しませぬから」をめぐる論争は今も続き、主語に関する誤解も多い。だが、この碑文は広島市長・濱井信三の理念に基づく「平和記念都市」構想の核心であり、広島の復興と平和の象徴として、歴史的にも不可欠な存在である。碑文の精神を否定・軽視する姿勢は、過去の努力への冒涜である。
篠田英朗 2025.08.07
読者限定

80年目の広島への注目

 戦後80周年の節目となる広島の8月6日の原爆忌が終わった。今回は、日本被爆者団体協議会がノーベル平和賞を受賞後では初めての原爆忌であったため、例年以上に国際的な注目も集まったように思う。

 広島は年間1,434万人(2024年・過去最高)の観光客を集める都市だが、そのうち251万3千人は外国人観光客である(2024年・過去最高)。https://www.city.hiroshima.lg.jp/tourism-culture/tourism/1021446/1026907/1041605.html 

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3296文字あります。
  • 碑文論争に関する無知
  • 濱井信三の平和都市・広島のビジョン
  • 慰霊碑の意味

すでに登録された方はこちら

読者限定
「ウクライナは勝たなければならない」主義者のトランプ非難(責任転嫁)に...
サポートメンバー限定
反ロシアで結束する日本の軍事安全保障専門家コミュニティの今後
読者限定
日本は国連との関係をどう見直すか
誰でも
『地政学理論で読む多極化する世界』の公刊
読者限定
ロシア選挙干渉「疑惑」、ネオ・ユーラシア主義、そして自由主義の未来
読者限定
参議院選挙が見せた閉塞する日本の世代間対立
サポートメンバー限定
スプートニク騒動と「戦う民主主義」の暴走への警戒
読者限定
台湾防衛と日本の国益の計算