「西洋の敗北」を不可避化したロシア・ウクライナ戦争(トッド『西洋の敗北』を読む3)

トッドは、ロシア・ウクライナ戦争を、西洋の「敗北」が不可逆的に進む過程と捉える。米英主導でウクライナを対ロ戦争に組み込み、制裁でロシア解体を狙ったが、ロシアの耐久力と非西洋世界の離反を過小評価した結果、西洋は経済的・政治的に自壊へ向かうと論じる。
篠田英朗 2026.02.07
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西洋の敗北としてのロシア・ウクライナ戦争

 トッドは、ウクライナの勝利を信じる方々の間で、評判が悪い。トッドが、ロシア・ウクライナ戦争が、「西洋の敗北」を決定づけている、と考えているためだ。それはどう評価できるだろうか。

 トッドは、『帝国以後』で予言したアメリカ帝国の瓦解のプロセスは、一貫して進展中だという見方をとっている。ただ、さらに踏み込んで、2024年に『西洋の敗北』という題名の著作を出すことになったのは、欧州で起こっている戦争の行方を、トッドが悲観しているからに他ならない。

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続きは、5517文字あります。
  • 2002年『帝国以後』の時期のトッドのウクライナ論
  • 「西洋」に立ち込める「不安」
  • ブレジンスキーの対ロ強硬路線の地政学思想
  • 自ら敗北へと進む「西洋」
  • トッドの「西洋の敗北」論の評価

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