アメリカを動かしてきた「イスラエル・ロビー」

米イラン停戦交渉の背後でイスラエルの影響が大きく、米国はその意向に強く拘束されている。ミアシャイマー・ウォルトの名著で明らかにされたように、イスラエル政府・ロビーは、アメリカの外交政策に大きな影響を及ぼし、合理性を欠くアメリカの対外政策が形成される温床となり、アメリカの国力を疲弊させ続けてきた。今後はどうなるのか。戦争終結の仕方は、米イスラエル関係の動向と、大きく関わる。
篠田英朗 2026.04.11
読者限定

交渉に不在のイスラエルの大きな影

 停戦交渉団を空港で出迎えたパキスタンのアーシム・ムニール陸軍元帥が、イラン代表団を軍服姿で、アメリカ代表団をスーツで出迎えたことが話題だ。イラン側に軍人がいたことによるプロトコル(アメリカ側の中央軍司令官は別便で到着したのかは不明)だというが、イランと間に軍事関係を持つ用意があることを第三国(イスラエル)に誇示したのではないか、という憶測が出ている。

 イスラエルとアメリカは、最高指導者ハメネイ氏のみならず、多数の政府要人を暗殺し続けている。ある時は、トランプ大統領が「暗殺し過ぎて、誰と交渉していいか、わからなくなってしまった」と冗談にもならない発言をしたことがあるくらいだ。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、5530文字あります。
  • アメリカとイスラエルの特別な関係
  • ミアシャイマー/ウォルト(著)『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』
  • 標的殺害の手法
  • トランプ政権の特異性
  • イランとの戦争が歴史的転換になるか

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
東大ROLESを通じて公刊した三つの英語書籍について
読者限定
アメリカとイラン:交渉における「行き詰まり(deadlock)」につい...
読者限定
中国・ロシア首脳会談後の「共同声明」を読んで
読者限定
「中露善隣友好協力条約」25周年:四半世紀で変わってしまった世界
読者限定
二つの地政学理論の伝統と、二つの米中関係の描写方法
サポートメンバー限定
「G2」と多極化世界の関係(続):苦しい日本
読者限定
「G2」と多極化世界との関係:三つのイメージ
読者限定
イランの地政学理論から見た特性