アメリカとイラン:交渉における「行き詰まり(deadlock)」について

アメリカとイランは停戦後も交渉が進まず、双方が軍事的・政治的に「行き詰まり(deadlock)」状態にある。米国はイランの軍事力を決定的に無力化できず、イランも米国・イスラエルに決定打を与えられない。このため交渉は停滞し、双方とも譲歩を拒んでいる。打開には、ホルムズ海峡や制裁解除、核問題などを個別に切り分けた段階的な相互利益型交渉が必要だ。米国が現実の行き詰まりを認めない限り、危機は長期化する。
篠田英朗 2026.05.29
読者限定

不透明なアメリカとイランの間の「合意」

 アメリカとイランが、一時停戦に入り、交渉を始めてから、1カ月半がたった。事態の進展は見られない。

その一方で、繰り返しアメリカのメディアが「政府関係筋」の情報として、合意が近いかのようなことを伝えている。そもそもトランプ大統領が、合意が間近であることを示唆する内容を、SNSを通じて何度か発信してきている。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、4848文字あります。
  • 「交渉」分析における「行き詰まり」概念について
  • 「行き詰まり」(と「膠着」)の定義
  • アメリカの「行き詰まり」
  • イランの「行き詰まり」
  • 「行き詰まり」を克服できない紛争当事者
  • アメリカの逆封鎖の行き詰まり
  • 「行き詰まり」を突破する交渉の可能性

すでに登録された方はこちら

読者限定
中国・ロシア首脳会談後の「共同声明」を読んで
読者限定
「中露善隣友好協力条約」25周年:四半世紀で変わってしまった世界
読者限定
二つの地政学理論の伝統と、二つの米中関係の描写方法
サポートメンバー限定
「G2」と多極化世界の関係(続):苦しい日本
読者限定
「G2」と多極化世界との関係:三つのイメージ
読者限定
イランの地政学理論から見た特性
読者限定
イランの体制転換はなぜ起こらないのか
誰でも
高市首相「パワーアジア」は対米外交の一環なのか