ポスト・コロニアルの歴史観から見たときのホルムズ海峡

ホルムズ海峡問題は、通航国の「海洋の自由」と沿岸国の主権、さらに旧宗主国と新興独立国の対立が交錯する場である。英仏などは通航権を主張し、イランは反植民地主義的立場から管理権を主張。歴史認識と国際法の解釈の差が、現代の対立を深めている。
篠田英朗 2026.04.25
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ホルムズ海峡とオマーン湾の状況をめぐる認識の違い

 2月28日のアメリカとイスラエルのイランに対する攻撃によって始まった戦争は、現在は脆弱な一時停戦中だが、再発の危険が高まっており、収拾のめどは立っていない。その一方で、イランのホルムズ海峡の交通制限と、アメリカのオマーン湾における海上封鎖で、世界経済に大きな混乱が訪れている。

 日本では、戦争の性質の認識から、ホルムズ海峡をめぐる問題に至るまでの問題について、様々な意見が表明されている。日本政府は、アメリカとの関係を尊重する立場から、イランを非難する姿勢を基本としている。結果として、ホルムズ海峡を通行するための交渉も自ら回避しているような状況だ。ホルムズ海峡の状況に関する認識としては、国際海峡なので、諸国に通過通航権が保障されている、という立場だと言うことだろう。その一方で、オマーン湾で、イランの港湾に出入りする船舶の通行を止めるためにアメリカが行っている海上封鎖については、理由は説明しないが、不問にしている。イランにホルムズ海峡の開放を求める声明を表明している欧州諸国を中心にした諸国は、ホルムズ海峡の状況認識については、日本と同じようなものだろう。

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続きは、4585文字あります。
  • イランにとっての旧欧州帝国の代表イギリス
  • コルフ海峡事件の含意
  • 国際海洋法の発展
  • イランの海峡管理は国際法違反か
  • アメリカの海上封鎖は国際法違反か
  • ホルムズ海峡/オマーン湾は思想戦の現場

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