米軍の地上戦の展開はあるのか ~弾切れ状態の宣伝戦後の米国の選択~
米国は宣伝戦の失速と戦略不在の中で手詰まりに陥っている。撤退の口実としての限定的な地上戦力が想定されているが、中途半端な兵力展開ではイランに対抗できない。小島制圧は、兵站・孤立化のリスクが高すぎる。米軍の損害と国内世論の反発を招く可能性が大きく、強行は地獄絵図を招くリスクが大きい。
篠田英朗
2026.03.28
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米国の宣伝戦は弾切れ状態
アメリカ・イスラエル対イラン戦争は、開戦から約1カ月を迎えたが、双方の攻撃は激しさを増す一方である。開戦初期には、アメリカとイスラエル側から「イランはすぐに弾切れとなり無条件降伏する」といった、現実から乖離した見通しが示されていた。こうした主張は、個性の強いヘグセス国防長官のみならず、米国のシンクタンクなどからも発信されていた。しかし、私が『The Letter』でも述べてきた通り、この見方には根拠がなく、宣伝戦と呼ぶべきものであった。
とりわけ問題なのは、極めて短期的な動機に基づいた宣伝であった点である。株式市場や原油市場の動向に時間単位で影響を与えようとする発想に支えられた発言であった可能性が高い。日本の「識者」たちがこれに容易に影響されたことも深刻だが、宣伝が宣伝に過ぎないことは、遅くとも数日から一週間程度で明らかになる。それにもかかわらず、なぜ場当たり的な宣伝に依存してしまうのか。この点もまた重大である。アメリカには長期的な戦略が欠如し、日々の市場動向に一喜一憂しながら政策を決定しているかのように見える。