G7サミット声明による国際法上の自衛権の「脱構築」について

 G7サミット声明は、イスラエルによるイランへの一方的攻撃を事実上支持するものであり、国際法違反を承知のうえでG7が「二重基準」の立場を世界に宣言したと批判される。国際法の概念をすり替えようとする意図的な操作には、意味がない。国際秩序を撹乱するG7の外交価値には、冷静な評価が必要だろう。
篠田英朗 2025.06.19
読者限定

 カナダ・カナナスキスで開催されたG7サミットで、交戦状態に入ったイスラエルとイランをめぐる情勢についての声明が出された。いったい何の意味があったのだろうか。

G7による自衛権の脱構築=二重基準

 イスラエルのイランへの一方的な攻撃開始は、明白に国際法に違反している。G7諸国は、それにあえて支持を示した。「われわれは堂々と恥ずかしげもなく二重基準を掲げます」と世界に宣言したわけである。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3723文字あります。
  • 国際秩序を攪乱するG7

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
ロシア政府が頻繁に用いるようになった「緩衝地帯」の概念と「停戦」の行方...
誰でも
マスクvsトランプ決裂が示す本当の重大争点
サポートメンバー限定
日本記者クラブでの「トランプ2.0」講演後の追記
誰でも
トランプ大統領のラマポーザ・南ア大統領に対する糾弾について
読者限定
プーチン体制は崩壊すると言えるのか? 永久戦争の覚悟がロシアの撤退を導...
読者限定
「侵略の罪」特別法廷を作る意味
誰でも
カシミール紛争のグローバルな要素
誰でも
トランプ高関税政策の構造的事情と国際秩序