パランティア・テクノロジーズの研究(2):創業者ピーター・ティールの思想
パランティアの思想の源泉:ピーター・ティール
パランティア・テクノロジーズが他のシリコンバレーのテック企業と異なっているのは、軍隊にサービスを提供することを厭わない点だ。たとえばグーグルでは、AIの軍事利用に抗議する社員が話題を呼んだことがある。企業方針としても、軍事利用される製品の提供には慎重だ。しかしパランティアは、まったく逆だ。積極的に米軍のみならずイスラエル軍などとも契約を結び、軍事活動を支援してきた。しかも、そのことを誇ってさえいる。
もともとパランティアは、2001年の9・11テロ事件後に始まった対テロ戦争を背景に設立された会社だ。対テロ戦争の進展にあわせて業務を拡大してきた。従来の軍需産業では、対テロ戦争の特殊な要請に対応するソフトウェアの開発などが十分にできなかった。パランティアは、その間隙を埋めた。まず、創業者のピーター・ティール氏がPayPal時代に培った犯罪者摘発のシステムを応用した。その技術的特性を生かし、FBIからCIA、国土安全保障省(DHS)、国防省(DoD)[現在は戦争省(DoW)]、さらにはアメリカ合衆国移民・関税執行局(ICE)にまで契約を広げた。
特筆すべきは、パランティア社がテック企業としてAIを駆使したシステムの構築を図ると同時に、新世代の軍需産業としての思想的基盤を持っていることだろう。パランティアは、軍を支援することを、社会的に、あるいは国家にとって意義のあることとみなしている。軍への支援は、パランティアにとって、むしろ自社の企業アイデンティティを強化する活動だ。
「テクノロジー業界というものが生まれてからずっと、極右勢力は存在した。しかしそれを表面に浮かび上がらせ、武力化したのはピーター・ティールだった」「ティールのイデオロギーは複雑だが、大まかに言ってテクノロジーの発展への極端な固執と、国家主義的な政治思想を合わせたものだ」(マックス・チャフキン[永峯涼訳]『無能より邪悪であれ――ピーター・ティール:シリコンバレーをつくった男』[楓書店、2024年]、9、11頁)。
パランティア社の思想傾向を知るためには、創業者の思想的立場を知る必要がある。そこで本稿では、ピーター・ティール氏に焦点を当ててみたい。ティール氏については、ジャーナリストのマックス・チャフキン氏が執筆した優れた本がある。邦訳で400頁を超える、広範な調査に基づく興味深い本だ。本稿では、主にこの本の内容を紹介する形で、ティール氏の思想的立場についてまとめておきたい。
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- ピーター・ティール氏の経営思想
- ティール氏の生い立ち
- スタンフォード大学での経験
- ペイパル・マフィアのボス
- 対テロ戦争の時代
- トランプ政権とのつながり
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