アメリカ「建国250年」の誤謬と、「皇室典範」改正問題

1776年を米国「建国250年」と呼ぶのは、13州の独立と合衆国憲法による連邦国家成立を混同する誤りである。この誤謬の背景には、日本の「建国記念の日」や皇室典範改正にも、「神話」的国家観が影を落としている。
篠田英朗 2026.07.05
読者限定

「建国250年」概念の間違いについて

 アメリカでは1776年独立宣言から250周年を祝う行事が、7月4日に多数行われているようである。これについて日本では「建国250年」と称することが一般化している。

 これは端的に言って、間違いである。250年前に独立したのは、北米13英国領植民地であって、「州(State)」の成立は、日本人が意識している「アメリカ合衆国」の成立とは異なる。

そもそも日本では、7月4日をアメリカの「建国記念日」と呼ぶ習慣がある。これが間違いである。7月4日は「独立記念日(Independence Day)」である。2月11日の日本の「建国記念の日」と言い方をあわせたために、間違いが生じたものと思われる。

こうした日本人の錯誤の背景にあるのは、単なる合衆国の歴史に関する知識の不足だけとは言えない。むしろ独特の神話的な「国家」観によるものだろう。それは現在進行形の皇室典範の改正問題とも関わっている。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、5025文字あります。
  • 合衆国は1776年に存在していなかった
  • 憲法は、13の州(State)に存在していた
  • 「分割主権(Divided Sovereignty)」の法原理
  • 合衆国の主権の所在の不明瞭性
  • 日本の「建国記念の日」
  • 美濃部達吉『米国憲法の由来及特質』
  • 皇室典範改正の問題

すでに登録された方はこちら

読者限定
アメリカのICC制裁:金融制裁の歴史の中で捉える
サポートメンバー限定
プーチン大統領の北方領土訪問をめぐる国際政治学者の言説についての雑感
サポートメンバー限定
プーチン大統領の北方領土訪問で強硬路線を唱える国際政治学者たち
読者限定
サウジアラビア・パキスタン・トルコのメッカ共同防衛協定への諸国の反応と...
読者限定
サウジアラビア・パキスタン・トルコ防衛協定(メッカ協定)と中間派イスラ...
読者限定
ウクライナはドローン産業で生き残れるのか
読者限定
国際戦争化する内戦:複合的武力紛争の時代
読者限定
地政学的概念の誤解を招く用法